金は反落。FOMCが0.25%の利下げ決定。パウエル議長は慎重姿勢を強調。

国内公表(買取価格1gあたり)
金 23,252円 (+14)
プラチナ 9,028円 (-183)
NY市場(終値ドル/トロイオンス)
NY金 4,224.70ドル (-11.50)
NYプラチナ ドル 1,647.20ドル (-53.30)

12/10、ニューヨーク市場の金は反落。始値4,237.50ドル、高値4,268.80ドル、安値4,207.80ドル、終値4,224.70ドル、前日比-11.50(-0.27%)。【米雇用コスト指数】米国で本日発表された雇用コスト指数(ECI)は、2025年第3四半期で前期比「0.8%上昇」となり、エコノミストの予想(0.9%)をやや下回った。企業や政府が支払う賃金・給与および福利厚生コストはともに0.8%上昇。年率ベースでは総コストが約「3.5%上昇」となったが、前四半期の3.6%から鈍化しており、伸びはやや鎮静化の様相。この鈍化は、労働市場の「ひとまずの落ち着き」や、賃金上昇によるインフレ圧の過熱を和らげる可能性として受け止められている。報告は、政府機関の長期閉鎖の影響で回答率が低下したため、やや「注意深く」解釈するよう警告もしている。一方で、物価全体を押し上げるエネルギーコストや輸入品価格の高止まりなど、他のインフレ要因が残るため、今回の賃金の伸び鈍化だけで「インフレが終息する」と判断するのは時期尚早との見方もある。結果として、今回の0.8%の伸びは「インフレ圧力の一因だった人件費上昇のペース鈍化」という意味で市場や政策当局にとっては一定の安心材料だが、物価全体の見通しには慎重さが求められそうだ。【米連邦公開市場委員会(FOMC)】FOMCは本日、政策金利を0.25%引き下げ、誘導目標を3.50%〜3.75%のレンジとすることを決定した。市場では事前に利下げ観測が強まっており、今回の決定は概ね織り込み済みと受け止められている。一方、委員会内では景気と物価動向の評価を巡って意見が分かれ、9対3での可決となるなど、政策判断の難しさを映し出した。パウエル議長は会見で、インフレはなお高めだが労働市場の減速も進んでいると指摘し、「今後の追加利下げは経済指標次第」と慎重姿勢を強調した。市場では米株が上昇し、長期金利は低下するなど、当面の金融環境緩和を期待する動きが広がった。ただ、来年以降の金利見通しには不確実性が残り、委員間でも2026年の金利方向を巡り見解が分かれている。今回の利下げが連続利下げの最終局面となるのか、あるいは景気の減速が一段と鮮明になり追加緩和が必要となるのか、海外では引き続き慎重な分析が続いている。【ニューヨーク金相場】ニューヨーク金先物相場は10日、FOMCを控えた調整売りが優勢となり、中心限月は1トロイオンス=4,224.7ドル(前日比11.5ドル安、-0.27%)で取引を終えました。直近の史上最高値圏から小幅な押し目をつけた形となり、市場では利益確定売りやポジション調整の動きが広がりましたが、4,200ドル台を維持したことで下値の堅さが確認されています。海外報道では、この日の下落を「利下げ期待に支えられた高値圏での一時的持ち合い」と位置付け、強気トレンドの継続を指摘する声が主流です。米連邦準備制度理事会(FRB)の年内利下げ開始観測が根強く、実質金利低下やドル安基調が金価格の下支え要因として強調されています。また、中東情勢の地政学リスクや世界的な中銀の金購入需要、米財政赤字懸念といった構造要因も、押し目を浅く抑える背景とされています。テクニカル面では、4,100〜4,150ドル台を下値メドとする見方が多く、「過熱感はあるものの押し目買い優勢」とのスタンスが目立ちます。全体として、海外の評価は値動きと整合性が高く妥当ですが、イベント後の急変に備えたポジション管理が求められます。金相場は高値保ち合いを続け、次の材料待ちの局面です。

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